参考図書

 地名アイヌ語小辞典
  (北海道出版企画センター)
 北海道地名分類字典
  (北海道新聞社)
北海道の地名辞典

愛別(あいべつ)
(1)アイ・ペツ ai-pet「矢のように流れが速い川」
(2)アイ・ペツ ai-pet「イラクサのある川」

旭川(あさひかわ)
(1)チュプ・ペツ tup-pet「日の川」
(2)チュプカ・ペツ chupka-pet「東の川」
(水源が日月がでる東方にあるから和訳して旭川とした)

安平志内、安部志内(あべしない)
ア・ペス・ナイ a-pes-nai「我々が下る川」
(源流を山越えすると雨竜川の水源にでるアイヌ時代の古い通路)

安足間(あんたろま)
(1)アンタル・オマ・プ antar-oma-p「淵のある川」
(2)アン・タオル・オマ・プ an-taor-oma-p「片側に高岸がある川」

石狩(いしかり)
(1)イ・シカラ・ペツ i-sikar-pet「回流川」
(2)シイ・カラ・ペツ isi-kar-pet「鳥尾で矢羽を作る所の川」
(3)イシカリ・ペツ isikari-pet「屈曲していて上流が見えない川」

岩尾内(いわおない)
(1)イワ・オ・ナイ iwa-o-nai「岩山の川」
(2)イワウ・ナイ iwau-nai「硫黄川」

ウエンシリ
ウエン・シリ uen-sir「悪い山」

歌登(うたのぼり)
(1)オタ・ヌプリ ota-nupuri「砂山」
(2)オタ・ヌプリ・チャシ ota-nupuri-chas「砂山の砦」
(北見幌別川、河口近くの二つの砦が、砂の人工的な盛り土だった)

宇津(うつ)
ウツ ut「助骨」(本流に直角に入っている支流)

雨竜(うりゅう)
(1)ウリリ・オ・ペツ urir-o-pet「鵜がおおい川」
(2)オ・リリ・オ・ペツ o-rir-o-pet「川尻が波立つ川」

枝幸(えさし)
(1)エ・サ・ウシ・イ e-sa-us-i「頭を浜につけているもの(岬)」
(2)エサシ esasi 「昆布」

江丹別(えたんべつ)
(1)エタンプ・ペツ etanp-pet「漂川」(アイヌの舟が転覆して漂った)
(2)エ・タカネ・ペツ e-tanne-pet「頭が長い川」
(3)エトコ・タカネ・ペツ etoko-tanne-pet「水源が長い川」

えりも
(1)ポロ・エンルム poro-enrum「大きい岬」
(2)ポン・エンルム pon-enrum「小さい砂崎」
(3)オンネ・エンルム onne-enrum「年老いた岬」

遠別(えんべつ)
(1)ウエ・ペツ ue-pet「二股の川」
(2)ウ・イエ・ペツ u-ye-pet「相、話しする川」
(3)ワッカ・ウエン・ペツ wakka-uen-pet「水が悪い川」

雄武(おうむ)
オ・ム・イ o-mu-i「河口が塞がる所」

大手(おおて)
オ・テルケ・オツ・ペ o-terke-ot-pe「川尻をいつも跳び越すところ」
(オテルコッペ)

雄木禽(おききん)
オ・キキン・ニ・ナイ o-kikin-ni-nai「河口にナナカマドの木がある川」

於鬼頭(おきと)
(1)オ・キト・ウシ o-kito-us「河口にギョウジャニンニクがおおい」
(2)オ・ケツ・ウン・ナイ o-ket-un-nai「河口に皮を干す張枠がある川」

小車(おぐるま)
(1)オ・クルマツ・オマ o-kurmat-oma「河口に和人の女がいる川」
(2)オ・クルマツ・ナイ o-kurmat-nai「川尻に魔女がいる川」

置戸(おけと)
オ・ケツ・ウン・ナイ o-ketu-un-nai「河口に皮を干す張枠がある川」

興部(おこっぺ)
オウコツ・ペ oukot-pe「(河口付近で)合流するもの」(興部川と藻興部川が河口で合流していたが、いまは藻興部川は瑠橡川と合流)

於達部(おたっぺ)
オ・タツ・ペ o-tat-pe「カバノキがおおいところ」

音稲府(おといねぷ)
オトイ・ネップ otoi-neppu「泥川」

御西(おにし)
(1)オ・ニ・ウシ・イ o-ni-us-i「川尻に木が群生するところ」
(2)オ・ニシュパ・オマ・ナイ o-nishuppa-oma-nai「川尻に樹根がある川」

雄信内(おのぶない)
(1)オ・ヌプ・ウン・ナイ o-nup-un-nai「河口に原野がある川」
(2)オ・ヌプ・ナイ o-nup-nai「河口が野の川」
(ウンを省略した形で呼ばれていた)

オフンタルマナイ
オ・フム・タオル・オマ・ナイ o-hum-taor-oma-nai「川口が切れこんでいる川岸が高いところにある川」
(川尻が切り立った高所になっている川)

おんねゆ(温根湯)
オンネ・ユ onne-yu「大きな温泉」

神恵内(かもえない)
カムイ・ナイ kamui-nai「神の川、熊がでる沢、美しい神秘な沢」

クッチャロ
ト・クツ・チャロ to-kut-charo「湖の喉」

剣淵(けんぶち)
(1)ケネ・ペツ・プト kene-pet-put「ハンノキの川口」
(2)ケム・ネ・ペツ kem-ne-pet「血のような川」(谷地で赤いから)

声問(こえとい)
コイ・トゥイェ koi-tuie「波が崩れる」

札滑(さっこつ)
サツ・コツ sat-kot「乾いた窪地」

様似(さまに)
(1)エサマン・ペツ esaman-pet「カワウソが住む川」
(2)エ・サマン・キ e-saman-ki「それ(カワウソ)で占う」
(3)サマニ saman-i「川尻が海対し横になっている川」

猿骨(さるこつ)
(1)サル・コッ sar-kot「湿地の窪地」
(2)サル・エ・ウコッ sar-e-ukot「芦原がそこでくっついている」

猿払(さるふつ)
(1)サル・コッ sar-kot「湿地の窪地」
(2)サル・エ・ウコッ sar-e-ukot「芦原がそこでくっついている」

猿留(さるる)
(1)サル・オル・オ・ペツ sar-or-o-pet「湿地の中にある川」
(2)サルルン・ウシ・イ sarrun-us-i「鶴が多いところ」

サロベツ
(1)サル・オ・ペツ sar-o-pet「芦原にある川」
(2)サル・オマ・ペツ(サロマペツ) sar-oma-pet「芦原にある川」
(3)サル・プツ sar-putu「サロベツの口」

佐呂間別(さろまべつ)、佐呂間(さろま)
サル・オマ・ペツ sar-oma-pet
「湿地にある川、葦のある川、葦のある所(葦原)の川」

沢木(さわき)
(1)サル・キ・ペツ sar-ki-pet「芦原のところの川」
(2)サラ・キ・プ sar-ki-p「鬼茅のあるところ」

士別、標津(しべつ)
(1)シ・ペツ si-pet「本流」
(2)シペ・オツ sipe-ot「鮭がおおい」

下川(しもかわ)
パンケ・ヌカナン panke-nukanan「下の沢(川)の意訳」

斜里(しゃり)
(1)サル・ウン・ペツ sar-un-pet「湿地にある川」
(2)サル・イ sar-i「葦が生えているところ」
(3)サル sar「葦が生えた湿源」

支湧別(しゆうべつ)
シ・湧別 si-湧別「本当の、真の、大きい湧別」

渚滑(しょこつ)
ソ・コツ so-kot「滝壺」

初山別(しょさんべつ)
(1)ツュツュ・サム・ペツ susu-sam-pet「柳原ちかくの川」
(2)シュサム・ペツ susam-pet「シシャモ魚の川」
(3)ソ・サン・ペツ so-san-pet「滝が落ちる川」

知床(しれとこ)
シル・エトク sir-etok(シレトク)「大地の先、岬」

空知(そらち)
ソ・ラプチ so-rapti「滝が落ちるところ」

鷹栖(たかす)
チカップ・ニ chikap-ni「大きい鳥が棲む巣のあるところ」
(大岩に鷹が棲んでいたと和訳して鷹栖とした)

立牛(たつうし)
タツ・ニ・ウシ・ペツ tat-ni-us-pet「樺の木がおおい所の川」

チセネシリ
チセ・ネ・シリ chise-ne-sir-i「家の形をした山」
(ここでいう家は古い時代の家で、竪穴式のものをさす)

チトカニウシ
チ・ツカン・ウシ・イ(チトカヌシ) chi-tukan-us-i
「われらがいつも矢を射る所」
(狩や漁、戦いに出るさい、神に祈って、崖や岩に矢を射って占った)

津別(つべつ)
(1)ツ・ペツ tu-pet「峰、尾根下の川」
(2)トゥ・ペツ tu-pet「二つの川」(津別川と網走川が並んでいる)
(3)ツペツ tupet「小さい川がたくさん集まったところ」

天塩(てしお)
テシ・オ・ペツ tes-o-pet「簗がおおい川」

問寒別(といかんべつ)
(1)トイ・カム・ペツ toi-kam-pet「土がかぶさる川」
(2)トイ・カン・ペツ toi-kan-pet「畑ある川」

当沸(とうふつ)=トーウツ
(1)ト・ウツ to-ut「沼の脇」
(2)ト・プツ to-put「沼の入り口」
(当沸川は河口近くで雄武川に合流する)

徳志別(とくしべつ)
(1)トプ・ウシ・ペツ top-us-pet「竹がおおい川」
(2)トクシュ・ペツ tuksis-pet「アメマスの川」

常呂(ところ)
(1)ト・コロ・ペツ to-kor-pet「沼をもつ川」
(2)トゥ・コロ・ペツ tu-kor-pet「山崎、岬をもつ川」

苫前(とままえ)
(1)トマ・オマ・イ toma-oma-i「エンゴサクのあるところ」
(2)エンルム・オマ・モイ enrum-oma-moi「岬にある入江」
(3)トマム tomam「湿地」

トムラウシ
(1)トンラ・ウシ tonra-us「水垢の多い」
(2) 「水苔、湯花のある川」
(3) 「水草トンラが生えているもの」

豊富(とよとみ)
イペ・コル・ペツ ipe-kor-pet「なんでも豊富にある川の意訳」

登和里(とわり)
ツワル・ペツ tuwar-pet「生温かい川」

頓別(とんべつ)
(1)ト・ウン・ペツ to-un-pet「沼に入る川」
(2)ツゥ・ウン・ペツ tu-un-pet「山崎のある川」

名寄(なよろ)
(1)ナイ・オロ・プト nai-or-putu「沢の中」
(渓流の注ぐ口、谷のところの川)
(2)ナイ・プト nai-putu「川の口」(名寄川が天塩川に入るところ)

仁居常呂(にいところ)=ニイトコロ
ニ・オ・常呂川 ni-o-常呂川「木のおおい常呂川」
(ni-oは漂木、立木ならni-usとなる)

仁宇布(にうぷ)
(1)ニウプ niup「森林がある川」
(2)ニ・ウ・プ ni-u-pu「木がある川」

仁頃(にころ)
(1)ニ・コル・ペツ ni-kor-pet「木をもつ川」
(2)ニクル・ペツ nikur-pet「林の川」

似峡(にさま)
(1)ニ・サム ni-sam「木の傍ら」
(2)ニシ・サム・オマ・プ nis-sam-oma-p「雲の側にある川」

西別(にしべつ)
(1)ヌ・ウシ・ペツ nu-us-pet「豊漁の川」
(2)ユ・ウシ・ペツ yu-us-pet「温泉のある川」

羽幌(はぼろ)
(1)ハプ・オロ・ペツ hap-oro-pet 「ウバユリがある川」
(2)ハ・ポロ・ペツ ha-poro-pet 「潮が引く大きい川」

美瑛(びえい)
(1)ピイエ・ペツ piye-pet「(十勝岳の硫黄がはいって濁り)脂ぎった川」
(2)ピイ・ペツ piye-pet「石川」

美深(びふか)
ピウカ piuka「石河原、石がおおい河床、鮭を突く石河原」

ピヤシリ
(1)ピイェ・シリ pie-sir「石山」
(2)ピ・アン・シリ pi-an-sir「岩のある山」(山頂に大岩がある)
(3)ピヤ・シリ piya-sir「石丘の山」

平取(びらとり)
ピラ・ウトル pira-utur「崖の間」

広尾(ひろお)
(1)ピロ・ロ pir-ro「蔭のところ」
(2)ピ・オロ pi-or「石のところ」
(3)ピルイ・ペツ pirui-pet「砥石川」

敏音知(びんねしり)
ピンネ・シリ pinne-sir「男山」
松音知と夫婦)

風連別(ふうれんべつ)
フレ・ペツ hure-pet「赤い川」

深川(ふかがわ)
オホ・ナイ oho-nai「深い川」の意訳

富良野(ふらの)
(1)フラ・ヌイ hura-nui
「臭いにおい、硫黄の臭気(十勝岳の硫黄臭がする)」
(2)フラ・ヌ・イ hura-nu-i「臭い持つところ」

古平(ふるびら)
(1)フレ・ピラ hure-pira「赤い崖」
(2)フル・ピラ hur-pira「丘の崖」
(3)クル・ピラ kur-pira「模様がある岩山」

フンベ
(1)フンペ・ネ・プ hunpe-ne-p「鯨みたいなもの」
(2)フンペ・オイ hunpe-oi「鯨がいるところ」
(3)フンペ・オマ・ナイ hunpe-oma-nai「鯨がよるところ」

兵知安(ペイチャン、へいちあん)
ペンケ・ペツ・イチャン penke-pet-ichan「上の川の産卵場」

穂別(ほべつ)
(1)ポン・ベツ pon-pet「小川」
(2)ポ・ペツ po-pet「子供の川」

幌加内(ほろかない)
ホルカ・ナイ horka-nai「後戻りする川」
(南流する雨竜川に対して、支流の幌加内川が東側を北流して合流する)

幌尻(ほろしり)
ポロ・シリ poro-sir「大事な山」
(山系の主峰)

幌延(ほろのべ)
ポロ・ヌプ poro-nup「広い原野」

松音知(まつねしり)
マツネ・シリ matne-sir「女山」
敏音知と夫婦)

丸瀬布(まるせっぷ)
(1)マウ・レ・セプ mau-re-sep「三つの川が集まる、広いところ」
(2)マタ・ル・セプ mata-ru-sep
「冬に山を越えて向こう側の土地へ降りて行く道のある、広いところ」

無加、武華(むか)
(1)ム・イカ mu-ika「塞がり溢れる」
(2)ムク・カ・ペツ muk-ka-pet「塞がり詰まる川」

藻興部(もおこっぺ)
モ・オウコツ・ペ mo-oukot-pe「子の(河口付近で)合流するもの」
(二つ並んで存在する場合、大きいほうを親、小さいほうを子と考える。この場合「親である興部の子」が藻興部ということになる。)

藻瀬狩(もせかる)
モセ・カリ mose-kar「イラクサを刈る(採る)」

紋別(もんべつ)
藻鼈(もべつ)
モ・ペツ mo-pet「静かな川」

湧別(ゆうべつ)
(1)ユウ・ペツ yu-pet「温泉川」
(2)イペ・オツ・イ ipe-ot-i「食べ物がおおい所」
(3)ユペ・オツ yupe-ot「チョウザメがおおい」

羅臼(らうす)
(1)ラ・ウシ・イ ra-us-i「低い所にある川」
(2)ラ・ウシ ra-us「根を食用にする草がおおい」

ルクシニコロ
ル・クシ・仁頃川 ru-kus-仁頃川
「道が通っている仁頃川 」

留辺蘂(るべしべ)
ル・ペシ・ぺ ru-pes-pe「道にそって下るもの、山越え道のあるところ」
(パナ・ワ・アン・ルペシぺ pena-wa-an-rupespe「下流にある峠道沢、東無加川をさす」)

瑠橡(るろち)
ルル・オチ rur-oti「潮が上がる川」
(河口が緩傾斜なので、満潮に海水が上がり逆流して塩気をおびる)

ワッカ
ワッカ・オ・イ wakka-o-i「水のあるところ、水が湧いているところ」

和寒(わっさむ)
アツ・サム at-sam「ニレの木のそば」