なつかしの頓別へ/2007年07月01日(金)曇
頓別川水系兵知安川支流(中頓別町)[10:00の気温14.0度、水温8.0度]

 街の喧騒がつきない午後9時、旭川の街の明かりを背に、何処まで行っても北西の空で手招きする宵の明星を見ながら北へ走る。1時間も走ると、名寄バイパスの入口の灯りが急に車窓に広がって、夜空の星がかき消されてしまう。でもこの場面は、特急列車の車窓に映る通過駅のホームにも似て、ちょっと懐かしい気持ちが湧き起こる。「♪夜のやみ行く〜ヘッドライトの」ラジオも旭川局の電波が途切れ途切れになり、一曲自慢の喉を、誰も聞いていない走行中の車内で披露する。名寄バイパスの延長で宗谷への道程も近くなり、道の駅「ピンネシリ」に3時間ほどで着いた。駐車場の隅すみに車を止めて、寝袋にもぐり込む。

 寝袋に入っていても寒いぐらいだが、ぐっすり眠ってしまい早朝4時、目が覚めたら空が明るくなっていた。敏音知、松音知岳の夫婦山から垂れ下がった乳白色の雲が、頓別川沿いの細長い牧野に覆いかぶさって、車のフロントガラスは冷たい朝霧に濡れていた。そうそう、おにぎりを頬張りながら、釣り仕度をする。



 先ずは数年ぶりの本流へ入る。好ポイントが続く中流域は、幸い先行者もなく良形がときどき顔を出す。それなりの釣果をおさめ、久しぶりの頓別川水系を散策するも、河畔林の生長で渓相が変わり、様子を思い出せないところも多くなった。数時間の試釣のあと兵知安川へむかう。ヤマベ釣りを初めて間もない頃に入渓して、ウグイの大群に返討ちにあった沢へ入ってみた。是非はともかく、バブル崩壊は寒村にも影響して、荒廃した山奥は人手が入り難い環境を整えつつある。豊かな自然が蘇った沢は、渇水期にも水量が安定し、水温も低くなっていた。大場は少ないが、ポイントごとに形の良いヤマベが顔を出し、年来の敵討ちは成就された。